第142章

酒井初音は御影家の門前に立ち、傍らを走り抜けていった黒いラングラーに視線を滑らせた。

ふっと、瞳の動きが止まる。――まるで胸の奥で何かが反応したみたいに、彼女は横目でその車を追い、覗き見防止のスモーク越しに中を見ようとした。澄んだ眼差しには、期待だけが静かに満ちている。

酒井正志は、漫然とその視線を受け流すつもりだった。だが一瞬、彼女の目とぶつかっただけで、胸の奥がきゅっと締まる。

冷える。心が。

――酒井初音。お前、今はもう、うまくやってるだろ

それなのに。いったい何を探してる?

四年前。久世家の門の外、ゴミ箱の脇に叩きつけられていた、引き裂かれたユニコーンのぬいぐるみが脳裏を...

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